恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
therapy8
「・・・ん」
柔らかなベッドの感触に目が覚める。
ゆっくりと瞼を開け、まだぼうっとした意識の中、少し離れた場所から私を見つめる白衣を着た人物の気配に気がつく。
「砂川君・・・?」
思わずそう砂川君の名を呼んだが、応えたのは砂川君の声では無かった。
低くて少しハスキーな、羽瀬さんの声だ。
「意識、戻ったみたいだな」
視界がはっきりとし、安堵した羽瀬さんの様子が目に入った。
ぼんやりとしていた意識もやがてはっきりとする。
「羽瀬さん・・・」
「おい馬鹿、無理して身体起こすな」
急いでガバッと上半身を起こそうとした私を、羽瀬さんがそう言って止める。