恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
関係は大ありだ。彼は、私がPTSDにかかった理由だ。
顔こそ見なかったけれど、確かにあの時店にいたお客さんは、間違いなく天津先輩だった。
事実関係を告白する事さえも、苦しい。治療以外で打ち明けるとなれば、胸が焼け付くような羞恥心に襲われる。
だから、もう想像エクスポージャーでの治療以外で、砂川君以外の人に話す事は無いだろうと思っていた。
でも、羽瀬君は私の病気の治療に付き合うと言ってくれて、突然倒れた私をここまで運んでくれた人だ。このまま隠しておくわけにもいかない。
「お店にいた人は・・・私の亡くなった姉の旦那だったんです。それで、私がPTSDにかかったのは・・・彼に暴力と強姦を受けた事が、原因です」
そう告げると、羽瀬君は目を見張った。
「・・・そうか。悪い、俺があの店に連れて行ったりしたから」
「いえそんな、警察にも届けていなかったんだし、いつかばったり会ってもおかしくないとは思っていたんです」
顔を歪めて頭を下げる羽瀬君に、そう言って首を左右に振った。
「被害届け、出さなかったのか?」