恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
そんな羽瀬君からの質問にコクンと頷く。
被害届けは出さず、警察には届かなかった。
天津先輩からの強姦、暴行は複数回にわたった。そしてある時、天津先輩が私の身体の上にまたがり、乱暴をしながら煙草の火を私に押し当てている所を、偶然母に見つかった。
お母さんは勿論驚き、言われるまでもなく天津先輩は私の身体を離した。
私に押しつけられたいくつもの煙草の跡。治りかけのものから、まだ癒えていないもの。
合意の上での行為では無かった事は、お母さんの目にも明らかだった。
その日の夜、天津先輩はお母さんにすべての事を白状し、頭を下げた。
そんな天津先輩に、お母さんは。
──もう、あなたはここの家を出て行きなさい。沙和にも、もう会わないで。
そう行って目頭を押さえた母は、次に私に向き直り、行った。
──沙和も、間違ってもこの事を誰にも言ってはだめよ。・・・もちろん、警察に届けようなんて馬鹿な事も考えては駄目よ。