恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
羽瀬秋人side
「これも治療になりますから」
心配だったが、沙和にそう言われては仕方が無かった。タクシーを病院の玄関まで呼び、沙和をエントランスまで送る。
本当に大丈夫なのか。
思わずそう尋ねてしまいそうになった言葉は、喉元に留めた。
(何で俺、婚約者でもないこいつの事心配なんかしてるんだ)
そう心の中で呟きながら、沙和とタクシーの側まで歩いた。
少し不安そうな顔をする沙和を見ると、やっぱり俺が送ってやるからとその手を引いて引き留めたくなる。
どうかしてる。今日の俺は調子が悪い。
「今日は本当にごめんなさい。せっかくお店に連れていってもらったのに、お料理も食べないで…羽瀬君にも、あの綺麗な女将さんにもすごく申し訳なくて、私、」