恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
タクシーに乗り込む直前、沙和がそう言って申し訳なさそうに目を伏せた。
「気にするな、お前は何も悪い事してないだろ」
そう言うと、沙和は一瞬その大きな瞳をより大きく見開いた後、力無く微笑んだ。
*
沙和をタクシーに乗せ、俺は戸締まりをするためにさっきまで沙和のいた病室に戻った。
「・・・・・・?」
カーテンを閉めようと病室の奥に足を進めると、部屋の床にスマホが落ちている事に気がついた。ピンクゴールドの、自分の持っているものよりいくつか前の型のものだ。
この個室の病室に最近入った患者はいない。
沙和がこのスマホを使っている所を見た所は無いけれど、これは間違いなく沙和のものだろう。