恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
沙和の住所をカーナビに打ち込み、サイドブレーキを外してアクセルを踏む。
車を走らせながら、女が忘れ物をしたからといってそれを自分で届けに行くなんて事は初めてだという事に気がつく。
(いやでも、物が物だし、当たり前だろ。・・・人として)
そこに特別な感情は無い。そう自分に言い聞かせながら沙和のマンションへの路地をたどり、15分程でたどりついた。
外装は、可も無くふ不可も無くといった中堅マンション。沙和の部屋は何階だったかと自分のスマホを手に取ろうとした時、マンションのエントランスの前で揺れる二つの人影に気がついた。
暗くて良く見えないが、その小さい方のシルエットにまさかと目を細める。
「・・・沙和?」
遠目にも沙和だと確信し、そしてその沙和が男に言い寄られるようにその距離を詰めらえているのに気がついてハッとする。