恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】

「・・・っ」

急いで車を道の端にとめて飛び出した。



「なぁ、沙和、まだ俺の事を好きでいてくれているんだろう?な?」

エントランスまで近づいて男のそんな言葉が耳に入った時、まるで自分の心臓が撫でられているかのような感覚を覚えた。

急いで二人の側まで駆寄り、沙和の病気の事も忘れ、沙和の肩をグッと掴み男から引き剥がすように自分の方にグッと寄せた。

その瞬間、沙和がビクッと震えて自分に怯んだ事に気がつき、沙和を掴んでいた手をパッと離す。

その時。

「君は、確か今日沙和と一緒にいた奴か」

そんな声に顔を上げ男の顔を見て、思わず目を見開いた。

(こいつ、今日店に来た客・・・沙和の、義兄…)

沙和の義理の兄で、沙和を病気になるまで苦しめた男。
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