恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「悪いけど、沙和を渡してくれるかな。沙和も君に怯えているようだし」
「誰が・・・っ、お前、自分がやった事分かってんのか!?」
カァっと頭に血が昇り、半ば叫ぶようにしてそう言い殴る。
「分かっているよ。でも沙和も俺を受け入れたんだ。第一沙和はいつまでたっても俺の事を警察に突き出さない。それが何よりの証拠じゃないか」
「な・・・っ」
「だから今日は沙和の事を迎えに来た。・・・沙和、俺と一緒に死のう」
そんな言葉に、一瞬自分の思考回路が停止した。
後ろで、沙和が息を呑んだのが分かる。
──一緒に死のう。
「お前・・・ふざけるのもいい加減にしろよ」
「ふざけてなんかいないさ。それに俺は沙和に話をしている。君じゃないよ。
なあ沙和、一緒に来てくれよ。沙菜に会いに行くんだ。・・・な?」
そう言って男が俺の奥で震えている沙和にねっとりとした笑みを向けると、沙和は震えながら地面に倒れ込むようにしてその場に座り込んだ。