恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
だが、どんな言葉をかけても沙和の様子は変らない。むしろ苦しそうに悪化していく。
俺の声は聞こえない。かといって、もし男である俺が沙和に触れてもっと症状を酷くさせたらと思うと、怖くて背中を叩いて安心させてやる事も出来ない。
・・・店を出た時のように、気を失ってくれた方が沙和にとってはきっと幾分も楽だ。
どうしたらいい。沙和を助けてやるためにはどうしたら。
「・・・隼斗」
ハッとその存在を思い出す。
考えるよりも先に体が動いていた。ポケットからスマホを取りだし、急いで隼斗に電話をかける。
3コール目で、隼斗の声が応えた。
『お前から電話なんて珍しいな、どうした?』
電話が繋がった事に安堵しながらも、俺は電話に噛みつくようにして叫んだ。
「沙和が大変なんだ、助けてくれ」