恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
──俺は最初からお前と結婚するつもりなんか無いから安心しろ。
沙和に初めて会った時に言った言葉だ。
俺は誰とも結婚する気なんて無かった。縛られるのは御免だ、家庭を持つなんて有り得ない。独り身で、自由に、遊びたい時に好きなように遊んで。
…けど。
「隼斗、俺は…」
自分でも無意識に何かを言いかけようとしたその時、自動ドアの開く音にハッとした。
右腕に大きめのショルダーバックをかけた沙和が小走りで駆け寄る。
「お待たせしました」
まだ青白いような顔色をした沙和が、そう言って頬を緩め俺達に小さく微笑む。
途端に心臓がビリっと苦しくなる。