恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「…砂川君、本当にありがとう」
申し訳ない気持ちが大きい事には変わりないが、正直あのまま一人でマンションの部屋に帰るのも不安だった。
沙和の心にお化けのように住み着き、長い間恐怖の対象であった人に会ったばかり。
あまつさえ、心中に誘われたのだ。
羽瀬君と砂川君が来てくれなかったら、本当に殺されていたかもしれないと思うとゾッとする。
そしてその恐怖は終わっていない。
──沙和は本当に相変わらずだなぁ。・・・今日の所はまあいいや。また迎えにくるよ。
…また迎えに来ると言ったのだ。私を、殺しに来ると。一緒にお姉ちゃんの所に行こうと。
つい先程の出来事を思い出すとまた恐怖で身体が震え出しそうになったが、側に砂川君が居ると思うとなんとか落ち着いた。
「ん…?」
砂川君がそばに居ると落ち着く。そんな事を思った自分に驚いた。
今まで、それがたとえ砂川君であっても、男性に対しては強い緊張感と恐怖があったのに。
そんな事を思ったのは初めてだった。