恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「沙和ちゃん?」
そう名前を呼ばれて、自分の体が小刻みに震えている事に気がついた。
「あ・・・」
この気持ちに名前を付ける事は出来ない。
だって、私が何より怖くて恐れている事。これを実行する事は難しいだろうと、不安階層表に書き込む事はしなかった。
──”もう一度、恋をすること”。
「分からないんです、私・・・っ。砂川君の事は、すごく信頼しているし、だから自分の中でも、砂川君が自分にとって特別な存在である事は分かってます。でも、その気持ちを、恋愛感情だって当てはめたく無い・・・っ。私、怖いんです。誰かに恋をする事なんて出来ない。恋をする事が、私にとっての、何より一番のトラウマなんです・・・っ」