恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
──楓さんとそのような話をしたせいか。
翌朝目が覚めてから、軽く洗顔を済ませてから部屋を出て。
カルテを片手に白衣に着替えた砂川君と廊下で会った時、思わず勢いよく顔をそらしてしまった。
「おはよう相澤。ちゃんと眠れたか?」
私のそんな挙動が見えていなかった筈はないのに、砂川君はいつも通りに優しく挨拶を返してくれた。それが申し訳なくて情けなくて、一度きゅっと目をつむってから、きちんと砂川君の目をみておはようと返した。
「砂川君、えっと、本当にありがとう。私の事助けてくれて、ここにおいてくれて、それに昨日のカフェオレも美味しくって・・・本当なんて言っていいか、私・・・」
今日砂川君に会ったら、きのうしそびれていたお礼をきちんとしなくちゃと思っていたのに、いざ砂川君を目の前にお礼を言おうとすると気持ちを上手く言葉に出来ずに口ごもってしまう。
そんな私に、砂川君は優しくて柔らかな表情を向けてくれた。