恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「俺がしたくて勝手にやった事だから。こんな状況の相澤、どうしても放っておけないし」
放っておけない。
深い意味など無いのかもしれないけれど、砂川君の口から発せられたその言葉が自分の胸の中で甘く渦巻いた。
その時。
「おーっ、もしかして相澤ちゃん?久しぶりだね~」
後ろからパタパタと靴音がして、そう声をかけてくれたのは診察の時に時々会う事のある臨床心理士さんである香坂さんだった。
私とは少し距離をとった所で香坂さんは足を止め、優しく微笑んでくれた。
「砂川先生から話は聞いてるよ、何か困った事があったらいつでも声かけてね」
そんな香坂さんの言葉に、心がほっと緩む。
「香坂、昼に俺病院抜けるから、その間相澤の事よろしく頼む」
「・・・・・?」
どこに行くんだろう。そんな自分の心の声が表情に出ていたのか、砂川君が警察に行ってくると付け加えるように説明してくれた。