恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
『もしもーし』
携帯越しに響いたその声に、思わずのけぞり手を滑らせた。勢いよく後退したせいか、体が当たりそばのポールハンガーを倒してしまい、その衝撃で携帯を床に落としてしまう。
「ぁ・・・」
『言っておくけど、何処に逃げても無駄だよー』
床に落ちた携帯のスピーカーから流れる声は───天津玲二のものだった。
あまりにも電撃的な恐怖に、体が息と、瞬きと、震えを忘れた。
『今は、病院にお世話になってるんだねぇ』
「・・・・・・っ」
どうして。どうしてそれを。
声にならないさけび声で頭が一杯になり、気がつけば自分の右手は口を覆っていた。