恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
therapy10


”本当にお世話になりました。やっぱり実家の方に戻ります。”

そう書き置きの手紙を残し、私はクリニックを抜け出した。

病院のロビーを通って玄関から出るのでは無く、病室の窓をとびこえて外に出た。

砂川君や楓さんにきちんとお礼を言えなかった事が心残りで悔しいが、あのままクリニックにいたら砂川君に引き留められ、ここを出る機会を失ってしまうと思った。

砂川君には実家に戻ろうと思うと話し、手紙にもそう書いておいたが、あれはクリニックを出る為の口実だ。実家に戻るつもりはない。

お母さんを危ない目に遭わせる訳にはいかないし、そうでなくとも迷惑をかけられるような間柄ではない。

かと言ってもとのマンションに帰るのも、天津に場所が割れている以上怖い。

(どうしよう・・・)
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