恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】

バタンっとドアを閉められ、そのドアを開けようとした時、助手席に戻った羽瀬君の鋭い声で制された。

「内側から開けようと思っても無駄だ。ロックかけたからな」
「そんな…」

ガチャガチャと確かめてみたが、羽瀬君の言葉通り内側から開ける事は不可能なようだった。

「隼斗のとこから抜け出したのか?」
「……っ」

否定のしようのない質問に体がビクっと反応する。

砂川君の所から逃げ出した。どんな理由があったにせよ、私のことを守ろうとしてくれた砂川君のところから、あんな紙切れ一枚で逃げ出してきた事実に変わりは無い。

心配をかけてしまう事は分かっていた。

いくら砂川君は楓さんを危険な目に遭わせたくないからだとしても・・・それは私のエゴで、わがままだ。

俯いて黙り込む私の態度を見て、肯定だと汲んだのだろう。羽瀬君が深いため息をつき、質問を重ねた。

「何があった」
「え・・・」
「理由も無しに、いきなりクリニックから抜け出してきたとは思えねえし。それにさっき俺からも逃げようとしただろ。言えよ、何があった」

腕のまだ引かない鳥肌をさすりながら、正直に答えてよいものなのか迷い、また黙ってしまう。羽瀬君はそんな私を一瞥すると、ジャケットのポケットからスマホを取り出して見せた。

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