恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
隼斗の事を利用して、沙和の足に錠をかけたのだ。
沙和がここにいて、俺から守られる事を承諾したのも全て、隼斗の為。俺が隼斗をダシにして脅したからだ。沙和が俺を選んでくれた訳でも、婚約の提案に頷いてくれた訳でもない。
そんな事を自覚した途端に、虚しい程の切なさと罪悪感に襲われた。
沙和が実家に帰っていない事。そしてこれからは俺の部屋でかくまうとした事。そして、沙和がクリニックから抜け出してきた理由。
俺にはそれを隼斗に報告する義務があった。
道中でさまよっている沙和を車で見つけたのは偶然じゃない。隼斗から、沙和がクリニックからいなくなったと連絡を受けていたのだ。
隼斗よりも俺の方が早く沙和の事を見つけた。ただそれだけの事。
たとえ恋敵でも、沙和の事を心配する隼斗に嘘は吐けない。
罪悪感に胸を刺されながら、沙和に会話が聞こえないよう、ベランダに出てから隼斗へと電話を繋げた。