恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
therapy11
羽瀬秋人side
「沙和も、承諾してくれたよ」
思わず口から出てしまったそんな嘘に、まるでガラスの破片を呑み込んでしまったかのような罪悪感に喉を刺された。
(俺、今何を…)
隼斗が俺の言葉に目を見張る。
いつも冷静で落ち着いている隼斗が、初めて見せる顔──いや、初めてではなく、二度目か。
沙和の事となると、隼斗はこうやって余裕をなくすのだろうか。俺と同じように。
「守ってやりたいんだ、あいつの事」
「…そうか。お前が側についててくれるなら、俺も安心出来る」
動揺を抑えているかのような隼斗の声色に、また胸が痛んだ。
嘘だ。沙和が俺のプロポーズを承諾してくれたなんて口から出まかせだ。