恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
そして、部屋の奥から漂う良い匂いに気がついた。
「ただいま。…何かすげーいい匂いする」
「ごめんなさい、その、勝手に夕食作っちゃってて」
「悪いな、すげー助かる」
部屋へ入り、途中まで配膳の済んだ夕食を見て自然と頬が緩んだ。
いり鶏に、小ネギと人参の味噌汁、コーン入りのポテトサラダ。ずっと外食や出前での夕食ばかりだったこともあり、テーブルに並べられた2人分の家庭的な手料理を見て感激に近い感情を覚える。
すぐに着替えてから、普段ならシャワーを浴びに行く所を順序を入れ替え、すぐにリビングのテーブルについた。
「あ、今ごはんよそいますね」
そういって、エプロンを身にまとった沙和が炊飯器からご飯をよそってくれる。
沙和が着ているエプロンは、今朝沙和に頼まれて貸した自分のものだ。華奢で身長も高くはない沙和には当然男物のエプロンのサイズは合う筈もなく、明らかに大きい。