恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
不意打ちのそんな安心しきったような微笑みに、思わず心臓が鳴った。
そんな動揺を隠すようにパクパクと食事を進める。
「すげーよ、料理めっちゃ上手いんだな」
「…誰かにそう言って貰ったの初めてなので、嬉しいです」
少し間があった後、沙和がそう言って照れるようにはにかみながら答えた。
沙和の料理はお世辞を抜きにして本当に上手だと思った。謙遜なのかもしれないが、料理が上手だと人に褒められたのが初めてだというのは本当だろうか。
「誰かに作ってやった事とか無かったのか?…隼斗とか」
「砂川君ですか?砂川君とは料理をつくってあげるような間柄じゃないですよ」
どうして俺がそんな事を聞いたのかわからないというように、不思議そうな様子で沙和が首を横に振る。
(いきなり何聞いてんだ、俺…)