恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
沙和が隼斗に料理をつくってやった事が無いからといって、俺が隼斗に勝てた訳でも何でもない。何を追い越せる訳でもないのに。
それでも無意識のうちに意識して、張り合ってしまう。
「沙和、これってまだおかわりある?」
そう言って空になった皿を沙和に見せると、沙和は嬉しそうににこっとして頷いた。
「はい、多めにつくっておいたので。ついでも良いですか?」
「あぁ、頼む」
そう言って沙和に皿を差し出した。
「……。」
沙和が皿を受け取る瞬間、その強ばった表情を見てハッとする。
それに気がついて俺が皿を引き戻そうとするより早く、沙和が皿を受け取った。
まるで何て事無かったように沙和が作ってみせた小さな笑顔に胸が痛む。