恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「わぁ、可愛い…」
沙和がそうこぼして目をぱちくりさせる。
箱の中に入っていたのはイヤリングだった。沙和に似合いそうな、白い花がモチーフの華奢なデザインだ。
それは、俺が沙和に用意した物ではなかった。
――GPS付きのイヤリングなんだ。友人の婚約者に俺が渡すってのもあれだから、お前が用意した事にして、相澤にお守りとして持っておくように言ってくれないか。
桜坂クリニックを出る時、そう言って隼斗から沙和に渡すように預かった物だった。
「…カモミール、私が好きな花なんです。これって…」
そう言われて、嘘をついて渡す事を諦めた。
「隼斗から、お前に渡して欲しいって今日預かってきた。」