恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
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羽瀬君が病院に出かけてから、私もここを出る為の準備を始めた。
元々そんなに荷物をもってきていた訳ではなかったので、荷物の片付けにはあまり時間がかからなかった。
時間がかかったのは、むしろ荷物の片付けよりも掃除だった。
ここにいる間使わせて貰っていた部屋やキッチンを綺麗に片付けて、せめてものお礼のつもりで丁寧に掃除をしていく。
羽瀬君が帰ってくるのは夕方から夜にかけてだから、時間に焦る事は無かった。
掃除を終えた後、今日の分の晩御飯を作り置いておく為に料理にとりかかる。
家に帰って私がここから出て行った事が分かったら、きっと羽瀬君は晩御飯を食べる所ではないくらいに驚くだろう。
そして、私の事を探してくれるかもしれない。
──俺が結婚してやるよ。
──俺はお前の主治医でも、友達でもない。だからお前を守る理由が欲しい。