恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
そう尋ねると、砂川君は形の良い唇の端を上げて微笑んだ。
「大丈夫だ、俺が相澤の病気を治してやる。
ショック療法って知ってるか?」
ショック療法。きっと荒療治みたいな意味だろうと想像してコクンと頷く。
「まぁショック療法とはちょっと違うんだが…
原因となっているトラウマの記憶を回避せずに何度も思い起こして、あえてその記憶に向き合って適切に記憶を処理していく。
今からやるのはそういう治療だ。持続エクスポージャー療法って言って、PTSDには今一番効果があるとされている」
「持続、エクスポージャー療法…」
耳馴染みのないその言葉を呟く。
"原因となっているトラウマの記憶を回避せず、何度も思い起こす"。
そんな砂川君の言葉が耳に焼き付くようだった。
(そんな、思い出すなんて…)
思わず震えだしそうになる体を、理性を働かせてどうにか抑える。