恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「おい隼斗、しっかりしろ!」
意識のない砂川君に、携帯で救急車を呼ぶ傍ら羽瀬君が声をかける。
「……そんな…」
ひきあげられて、初めて砂川君の出血部分が腹部だという事が見て分かった。
「嫌、嫌、死んじゃ…やだ、砂川君…!!」
自分の服をギリっと歯で引き裂いて、それを腹部に押し当てて必死に流血を止めようとする。
(お願い止って、止って・・・・)
じわじわと広がっていく朱殷の色に、お姉ちゃんが刺された時の記憶が容赦なくフラッシュバックして息がつまりそうになる。
──この感覚を知っている。
「・・・沙和」
苦しんでる場合じゃない、発作を起こしている場合じゃない。ここで私まで気を失う事があったらいけない。
いつも自分が発作を起こす直前に感じる息苦しさに襲われている事を自覚して、砂川君の血を抑えながら自分の肩を強く噛んだ。