恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「羽瀬君、その、私、本当に…」
「ん?」
「…ごめんなさい」
謝ってすむ事じゃない。きっと、羽瀬君に酷い心配をかけてしまった。
全部全部、私の安直な考えのせいだ。
「それはもういい。俺も、ちゃんと気をつかってやれてなかったからな」
「そんな…」
そんな事ない。羽瀬君は私にものすごく気を遣ってくれて、優しくしてくれて、良くしてくれて…羽瀬君が謝る事なんて、何一つ無い。
「そんな事ない。羽瀬君はあんなに良くしてくれてたのに、私…こんな、わがままで、自分勝手な事して、迷惑、ばっかり…」
もっとちゃんと謝らなければならない事は沢山ある筈なのに、あまりの罪悪感にまるで心が煤け、言葉が詰まる。
どうしようとまた泣きだしそうになった時だった。
「まあ、沙和は俺にすっげー心配かけたよなぁ。誰も家に入れるなとは言ったけど、まさか沙和から自主的に家から出てくなんて思わないし」
「……。」
羽瀬君の言葉に、仰る通りだと目を伏せる。
「だからさ、俺に心配かけた罰として、あのプロポーズは取り消しな」
そう言って羽瀬君が立ち上がる。
「え…?」
───俺が結婚してやるよ。
確かに私はそう、羽瀬君からプロポーズを受けていた。私を守る理由が欲しいから、その為に私と結婚をしてくれると、羽瀬君は言っていた。
「えっと、取り消し…」
「残念だったな、この俺と結婚出来なくなって」
そう言って羽瀬君がいたずらっぽく笑ってみせる。
そんな羽瀬君の言葉に少しだけポカンとした後、私も座り込んでいた身体を起こし、羽瀬君につられるようにして笑ってみせた。