恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
therapy13
砂川君が目覚めないまま、一週間が過ぎた。
あの後、港の漁船に眠るようにして気を失っていた天津は漁師さんによって発見され、警察の手へとわたる事になった。だが、天津は心神喪失の認定を受けたらしい。
刑事責任能力が無いとされ、このままでは刑法上でその責任を天津に追及する事は出来なくなってしまうだろう。
もしもこのままずっと砂川君が目覚めないような事があったら…いや、そうでなくても、私はきっと砂川君の事を傷つけた天津の事も自分の事も一生許す事など出来ないだろう。
「沙和、おーい、沙和ってばっ」
「あ…」
綾香にそう声を掛けられてはっとする。
私はあの後1日だけ大事をとって休みを貰った後、すぐに職場に復帰した。本当は砂川君が目覚めるまで砂川君の側にずっと居たかったのだが、これ以上仕事を休み続ける事は現実的に難しかった。
切り替えて、会社ではちゃんとしなきゃと気を引き締めていたつもりだったが、すぐに砂川君の事を考えてしまい、心配で心配で胸が押しつぶされそうになってしまう。