恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】




結局、お昼休みは思い切り綾香の前で涙を流してしまった。綾香は優しく微笑んで泣きじゃくる私をずっと慰めてくれていたけれど、きっと酷い心配をかけた筈だった。

お昼休みに泣いたせいで真っ赤に腫れてしまった目で午後の仕事を片付け、仕事を片付けると私はすぐに羽瀬君の病院に向かった。

受付をすませ、いつものように砂川君の眠る個室に入る。

ベッドの上で眠っている砂川君の横に座り、その手をきゅっと握る。

冷たいわけでも温かいわけでもないその手の温度。これが砂川君の手の温度なのだという事を初めて知った。


─── 男性から身体に3秒以上触れられる


不安階層表の一番上の項目。

これを砂川君に渡された表に最初に書き込んだ時、そんな事が出来るようになる未来なんてないように思えた。

でも今の私は、自分からこうやって砂川君の手にずっと触れる事が出来ている。

今思えば天津にずっと触れられていた時も、恐怖心で一杯だったけれど、それでも発作を起こす事は無かった。

私は変われたんだ。
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