恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「砂川君…私、不安階層表の一番上の項目…達成出来たよ」
そう言って握っていた砂川君の手をそっと持ち上げ、それを自分の頬にやる。
「私、変われたの。砂川君に再会して、助けて貰ったあの夜から…砂川君のおかげで」
会えて良かったと思っていた。再会出来た事を喜んでいた。
…でも。
「こんな事になるなら、あの時私、砂川君に再会しなければ良かった。私の病気なんか、そんなの、一生良くならないままで良かった…っ」
そう小さく叫んだ時。
ほんの少し、ほんの少しの小さな力だったが、確かにその手を握り返された気がした。
「え……」
驚いて目を見開く。
(今…確かに…)
「砂川君っ、砂川君聞こえる…?」
必死に砂川君の名前を呼びながら、砂川君の手を握る自分の手に力を込める。
お願い。お願い目を開いて。これ以上もう何も望まないから。これからどんなに自分が苦しむ事があっても構わないから、だから…
───お姉ちゃんお願い、砂川君の事を助けて。連れていかないで。
そう、祈った時だった。
ずっと閉じられていた砂川君の瞳がピクッと一瞬動き、ゆっくりと開いた。
「………砂、川く…」
「…………。」
「…砂川、君…?」
「……相澤、そんなに掴まれると、痛い」
そう言って、砂川君の瞳が私を捉えて優しく微笑んだ。