恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
様子のおかしな砂川君をやっぱり不思議に思いながら、持ってきたカモミールをベッドサイドの花瓶に生けるためにその場を離れようとした時だった。
右腕をグッと砂川君に掴まれて留まる。
(…え?)
「ごめん。俺、相澤困らせる事言ってもいい?」
そう言って砂川君が私の腕からそっと左手を放す。
いつになく真剣な顔をした砂川君にそう尋ねられ、私が困る事なんて一体何事かと目を見張りながら恐る恐るコクンと頷く。
「俺の意識が戻った時、相澤、俺の事を好きだって言ってくれたよな」
「………。」
思いがけない砂川君の言葉に、一瞬思考回路が停止しそうになる。
「そ、れは…」
──私もう、砂川君のいない世界で生きてなんていけない。
───助けてくれてありがとう。…大好き。
…言った。確かに言ってしまった。砂川君の意識が戻った事があんまり嬉しくて、その瞬間恥じらいも理性も失って、正直な気持ちを口にしてしまった。
思い返してみれば、それは穴があったら入り対ほどに恥ずかしく赤裸々な告白以外の何物でもなく。
意識を取り戻してすぐの事だったし砂川君も普通に接してくれていたから、私もその時の記憶は強制脳内削除をしていたし、砂川君もきっと覚えていないだろうと勝手に都合良く決めつけていた。
「え…っと…」
予想外の展開に頭が真っ白になり、耳の奥までが熱くなる。あまりの恥ずかしさに顔を背けた時だった。