恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「分かってる。相澤が俺の事を、医者とか、友人として信頼してくれてるって事だよな。そう言って貰えて、すごく嬉しかった」
「…ん?」
医者として?友人として?
そんな砂川の言葉に思わずポカンとなる。
砂川君の事を医者としても、友人としても信頼しているというのは本当だ。本当に信頼しているし、感謝もしている。でも、私が砂川君の事を大好きだというのは、そういう事ではない。
「俺も相澤の事は信頼してるし、好きだよ。
でもごめん。俺は、1人の女性として相澤の事が好きだ」
「え……」
今度こそ、本当に砂川君の言葉に一瞬頭が真っ白になる。
(砂川君も、私の事が好き…?)
「悪い。秋人の友人の俺がこんな事言っても困らせるだけだよな。…でも正直、もう秋人の婚約者になった相澤と毎日顔会わせるの辛いんだよ」
「……。」
(羽瀬君の、婚約者?)
「えっと、砂川君。私、羽瀬君の婚約者じゃないよ?」
確かに、羽瀬君から一度プロポーズされたけれど、それは砂川君の意識が戻った日に羽瀬君から直接取り消すと言われたのだ。
そして昨日も、あのプロポーズは無かった事にしてくれと釘をさされた。
──天津も病院にたたきこまれた今、沙和をおびやかす存在なんて何もないからな。俺がお前を守ってやる必要もないし、結婚する意味も無い。
──沙和も、これからは自分の好きなように、自由に生きろよ。
そんな言葉をくれた。