恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
砂川君がくれた言葉を心の中で繰り返し、必死に言葉を絞り出そうとして口を開ける。
砂川君は急かさない。ただ答えを待つように、私の目をじっと見つめる。
ガタガタと体を震わせながら、私は自分でも驚く程情けないような力のない声で、答えた。
「亡くなった姉の…旦那さんから、何度も…」
その先を答える事をまるで脳が心臓が全力に躊躇っているように、そこから先の言葉を発するのに随分長い時間がかかった。
「強姦に遭いました」
そう答え終えると、まるで体から何かがストンと抜け落ちたような気分になった。
だが、そんな無力感に襲われたのも束の間。
「……あ」
(こ、怖い)
口に出した事で鍵をかけていた記憶が一瞬蘇り、動悸が激しくなっていくのが自分でもわかった。
「相澤、落ち着いて」
「……っ」