恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】

砂川隼斗side


ピンポーンと家のインターホンが鳴り、俺は口をつけていたコーヒーのカップをローテーブルに置いて玄関へと向かった。

西日も差し掛かった夕方の5時。

──『今から砂川君のお家に遊びにいってもいい?』

そんな電話を相澤から貰ったのは、今から丁度1時間前だ。良いよと答えると、電話越しの相澤の声がわかりやすく嬉しそうに跳ねた。

そんな相澤の反応が可愛らしく、思わず自分の頬が緩むのがわかった。

『本当?じゃあ、今から行くね。今日楓さんとお茶してね、その時に楓さんのおすすめだっていうDVDを借りたから、一緒に見たいなって』

クリニックで一時相澤の事を匿った時、相澤の身の周りの事を任せる事の出来る女性の手が欲しいと頼ったのが姉である楓だった。

それを機に姉はすっかり相澤の人柄と容姿に惚れこんだらしく、相澤も相澤で楓を慕っているようで、二人は頻繁に連絡をとったり時々今日のように一緒にお茶をしに出かけているらしい。

「楽しみにしてる。気をつけて来いよ」
『はーい。…えっと…』

そこで切れるかと思った電話は切れなかった。相澤が何か言いかけた事は分かったが、やっぱり何でもないと言って再び相澤が切ろうとしたのを不思議に思って止めた。

「相澤、どうした?」

そして。
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