恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
──なるほどその話題の根元は俺の姉か。
弟の恋人から一体何て事を聞き出すつもりだったのかと内心で大きく肩を落とす。
「…相澤、そんな事より早く映画を観よう。楓の言った事なら気にしなくて良いから」
「へっ?」
俺がそんな風に話題をそらした事に違和感を感じたのか、相澤はきょとんとした表情で首を小さく傾げた。
そして手にしていたケースをテーブルに置き、代わりにポケットにしまわれていたスマートフォンを取り出す。
「ごめん、何でもかんでも聞くのは良くないよね。自分で調べてみる」
「ちょっ、おい、相澤…」
俺の制止の声も虚しく、相澤はネットでその言葉の意味する事の検索をかけた。
「えっ、あ…」
瞬間、相澤の身体がわかりやすくビクッと固まったのが分かった。そのままその白い頬を赤らめて少し俯いた後、挙動不審な手つきでスマートフォンの画面を意味もなくいじる。
(俺は止めたからな)
そう内心でため息をつきつつ、その初々しい反応はうっかり手を出してしまいたくなる程に可愛らしくて参る。