恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】

俺と相澤はまだプラトニックな恋愛関係なのか。つまり、まだ肉体関係を持っていないのかという意図の楓の質問。

キスをノーカウントとするのならば、その質問の答えはイエスだ。

キスはした。触れるだけのキスを数回。そして深いキスを一度だけ。

俺からのキスを受け止める相澤はいつだって初々しく、たまらなく可愛い。そしてそんな相澤の反応に触れる度に思い知るのだ。俺の理性は、相澤を前にするととても脆い。

もっともっと欲しくなるし、相澤の全てを自分の物にしたくなる。

キスの先に進まないのは、決して俺にその欲望が無いからではない。自分の欲望をぶつけ、相澤を怖がらせて壊してしまう事が怖いからだ。

相澤のPTSDは、治療で随分と良くはなったが完治した訳ではない。

過去に強姦を重ねられた事が原因でPTSDを発症した相澤にとって、性行為とはトラウマの記憶に最も直接的に結びついた行為であり、恐怖の対象に他ならない。
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