恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
砂川君の言う通り落ちこうとするけれど、落ち着こうとすればするほど呼吸は荒く、はやくなっていく。
「相澤、息を止めて」
「はぁ…っ、はぁ…っ」
(息を、止める?)
「大丈夫。落ち着いて、俺の言う通りにまずは息を止めて。出来る?」
「……っ」
ぐちゃぐちゃな意識の中で、砂川君の声だけがはっきりと耳に届く。
どうにか砂川君の言う通りにしようと激しく鼓動を打つ胸を押さえながら、その荒い息を止める。
「そう、そのまま。4、3、2、1…はい、口は閉じたまま、鼻から息を吸って」
そう言われて、思わず開いてしまいそうになった口を抑えながら息を吸う。
「よし、そのままゆっくり息を吐いて。リラックスして体の力を抜いて…そう、上手だ」
そう砂川君に優しく促されながら、砂川君の言葉に従うようにして何度もゆっくりとした呼吸を繰り返した。最初は苦しかったが、何度もそう呼吸を繰り返しているうちにだんだんと体が楽になり、あんなに荒ぶっていた息と動悸は落ち着きを取り戻した。
「よく頑張ったな。もう普通にしていいぞ」
そう言われて、普段通りの呼吸に戻る。