恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
高校時代に相澤に抱いていた、淡く、名前をつけるにはあまりに曖昧だった感情。
高校を卒業してからも、友人達から時々相澤の話を耳にする事があった。
相澤が第一志望としていた大学に合格した事。大手のメーカーに就職をした事。
そんな話を聞く度に、どこか淡くて切ないような気持ちになる自分が少し情けなくて可笑しかった事を覚えている。
──それを、まさか再会してからもう一度深く相澤と関わっていくうちにはっきりと自覚するようになるなんて思ってもみなかった。
相澤に再会してからすぐ、俺は相澤にPTSDを治してやると約束した。高校時代のあの日と同じように、ボロボロに傷ついている相澤を放ってはおけなかった。
俺が治す。俺が元の相澤に戻して、全部取り戻させてやる。
その時の俺に、相澤に対する下心は無かったと胸を張って言える。もしもそれがあったのなら、自らが治療の病気を治療する事は提案しなかっただろう。
…だが、今にして思えば、ずっと抑えこんでいた本能がそうさせたのかもしれない。相澤の事が欲しいと。