恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】

「今相澤がやったのは、呼吸再調整法っていう呼吸方法だ。もしさっきみたいな発作が起きたり、不安を感じたりした時はこの方法でゆっくり呼吸してみるといい」

「うん。すごく楽になった…」

さっきまであんなに呼吸が苦しくて心臓がドキドキして仕方がなかったのに、"呼吸再調整法"で呼吸をするとだいぶ落ち着いた。

深呼吸とはまた違う感じなんだな、と心の中で呟いた時。

「あれー?砂川先生今日休みっすよね。何か忘れ物でもしたんですか…って、あー!使ってない診察室に可愛い女の子連れ込んで何してんすか」

いきなり病室の扉が開き、白衣を着た若いお医者さんがそう言って部屋に入ってくる。

「おい馬鹿…っ」

「始めまして、ここのカウンセラーで臨床心理士やってます香坂です。君名前なんて言うの?砂川先生私服だし患者さんじゃないよね?」

(お、男の人…!)

急に部屋に入ってきたそのお医者さんにそう言って詰め寄られ、せっかく整ったはずの息がまた乱れそうになる。

(どうしよう怖い)

握手を求めるように差し出された手に慄いて私が体を大きくのけぞらせた時、香坂さんというお医者さんの腕を砂川君がグッと掴み、そのまま後ろに強く引いて私から距離を取らせた。
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