恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
相澤は辛い治療にも必死に耐え、治療を重ねる程にその表情は僅かづつながら明るくなり、俺への症状反応も段々と和らいでいくのが目に見えて分かった。
段々と病気が良くなってきている事を喜ぶ反面、俺は過去の事を後悔せずにはいられなかった。
高校時代、ただショックだと立ち止まるだけでなく、力づくでも天津から相澤の事を奪う事が出来ていれば。
それが叶わなくても、せめて明らかに様子のおかしかった相澤の話を無理にでも引き出して相談にのれてやれていたら。
そうしたら、もしかしたら相澤がここまで苦しむ事は無かったかもしれない。相澤の元からどうにかして天津を引き剥がせてやれていたかもしれない。
そんな感情は、相澤が発作を起こし目の前で苦しむ度に俺を激しく襲った。
だが、治療者は患者に対して決して感情的になってはいけない。寄り添う事はあってもあくまで客観的で、冷静でいなくてはならない。患者に思い入れをする事も個人的な感情を抱く事も、それは治療の妨げにしかならない。