恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
そう自分に何度も言い聞かせ、俺は相澤に対する自分の感情を抑え込み続けてきた。

…だが。

『本当にお世話になりました。やっぱり実家の方に戻ります』

そんな、わかりやすく嘘だと分かる置き手紙を残して沙和がクリニックから姿を消した日。俺よりも早く相澤の事を見つけだしてくれたという秋人に、俺はどれ位感謝したか知れない。

激しい安堵に肩を落とし──…やっと思考が冷静になった頃、電話越しの秋人の言葉に俺は思わず目を見張った。

『沙和の病気の事は理解してるし、ちゃんと気遣って生活するつもりだ。男との共同生活ってのが一番のストレスだろうが、状況が状況だから、沙和は俺の家に置いておきたい。』
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