恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「…香坂。お前心療内科のカウンセラーならもうちょっと気遣え」
そう言って砂川君が香坂さんにバインダーを投げつける。そしてそこに挟んであったカルテを見たのか、香坂さんは驚いたように目を丸くした後に勢いよく頭を下げた。
「わぁごめん!患者さんだったんだ、それもPTSDって…ほんとにごめんね相澤ちゃん。砂川先生、診察中邪魔してほんとすみませんでした」
(相澤ちゃん…?)
まるで子犬が尻尾を下げたようにしょんぼりとした様子で肩を落とした香坂さんは、そのまま本当にごめんねといいながら病室を出て行った。
「ごめんな。大丈夫だったか?」
香坂さんが部屋を後にし、ついポカンとしてしまった私に砂川君がそう尋ねる。
「あ、うん。
ちょっと驚いただけだから平気だよ」
あのまま握手されて手に触れられていたら危なかったと自分でも思うが、砂川君がすぐにはなしてくれたから大丈夫だった。
…それより。
──あれー?砂川先生今日休みっすよね。
香坂さんのさっきの言葉を聞いて驚いた。
「砂川君、今日仕事お休みだったの?」
「あぁ、まぁな」
「ええ…!」