恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
私服姿の砂川君に、予約も受付もしていない私。そしてここは今は使っていないという診察室。
最初から何かおかしいとは思っていたし、言われてみれば全部辻褄が合う。
「ごめんね砂川君、私が今日クリニックに行きたいだなんて昨日言ったから…」
「良いんだよ。元々俺から声かけたようなものだし、相澤の事は仕事じゃなくて個人的に診たいと思ってたから」
そんな砂川君の言葉に驚いて目を丸くする。
個人的に診てもらうなんてそんなの申し訳ない。
昨日だって砂川君に助けて貰ったばっかりだ。
そう思うのに、抗議する間も無く診療が再開してしまった。
「で、話は戻るんだけどさっきの呼吸再調整法。これを1日に10分程度、1日に2、3回練習するようにして。これが今週の宿題」
「宿題…」
宿題なんてものを出されるのはいつぶりだろうかと内心でクスっとしながら、砂川君から差し出されたプリントを受け取る。
受け取るといっても、直接ではなく机の上で差し出されたプリントを私が受け取る形だ。
そこには、さっき砂川君が教えてくれた呼吸再調整法のやり方が文字とイラストで印刷されていた。一度やっただけでは明日にはもちろん忘れてしまっているだろうからありがたい。