恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
therapy3
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「ちょっと沙和、あのイケメン誰よ!?」
「え?」
──医院に診察に行った翌週の月曜日。いつも通り出社して仕事をし、やっと訪れた昼休みの時間に会社のテラスの机でお弁当箱の包みを広げようとした時だった。
目をギラギラと見開いた綾香が同じくお弁当を持って私の目の前の席に腰かける。
綾香は美人で仕事も出来て、こうしてよくお昼も一緒に食べたりする仲の良い同期だ。
「えっと、あのイケメンというのは…」
そう言って綾香の急な質問に首を傾げる。
今日、私は課長に企画書を提出した時しか男性社員と話した記憶は無いし…。綾香が課長の事をイケメンと言っているのを聞いたこともないし、課長の事を"誰よ"と尋ねるのもおかしいだろう。