恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
(大丈夫かな、ちゃんと普通に出来ますように)
不安を抱えながらも、後回しにするわけにはいかないと電話番号をスマホの画面に打ち込む。
心臓が嫌な音をたてるのが分かる。発進ボタンを押して、スマホを耳に当てた。コールが、心臓の音と混ざるように3回鳴り響く。
『はい、砂川です』
4回目のコールは途中で途絶え、電話越しに砂川君の声が応えた。
「……っ」
途端に反射的にスマホを耳から離してしまう。
(ど、どうしよう)
砂川君だから大丈夫かな、と淡く期待していたが、それでも男性特有の低い声が耳元で響く感覚に耐えられなかった。
ゾクゾクと耳から身体全体に広がるように悪寒が走る。
どうしようと焦る中、そうかスピーカーにすれば良いのだと気づき、慌ててスマホの画面を操作してスピーカーモードに切り替えた。