恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
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「…ん」
少し硬いシーツと、柔らかな布団の感触で目が覚める。
ゆっくりとまぶたを開け、まだぼうっとした頭で白い天井を見つめた。
「起きたみたいだな」
そう声を掛けられてからようやくハッとして、急いで飛び起きるように体を起こした。
「わ…っ」
(ここは一体何処!?)
目覚めたらいきなり知らない場所で知らないベッドに寝たいたというとんでもない状況に頭を混乱させたまま、私に"起きたみたいだな"と声をかけた男の人の方をおそるおそる振り向く。
「おはよう相澤」
「………。」
私のベッドの側にあるデスクチェアーに足を組んで腰掛けているこの白衣を着た人は一体何者なんだろう。
それにどうして私の名前を知っているんだろう。
おまけにこの人はどうして、唇の端をまるで面白がるように引き上げているのだろう。