恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「お疲れ様。
じゃあその表、俺に渡して貰える?」
私が不安階層表を書き終えると、砂川君がそう言って私に右手を差し出した。
「相澤の手で、直接」
砂川君がそう釘を刺してニコっとする。
「………。」
砂川君の意味深な微笑みに、これは10の、"男性から物を直接受け取る"の実践だと気がつく。
こんなに急に始まるのかと思わず生唾を飲んだ。
男性から資料を直接渡される事は、苦手であっても当然会社では避けきれなかった行為の一つだ。"タクシーに乗る"なんかとは違って初めてする行為でもないし、大丈夫。
「ど、どうぞ」
そう自分に言い聞かせ、椅子から立ち上がり、恐る恐る砂川君に記入した不安階層表を差し出す。