恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
therapy4
──医院で行うのは、想像エクスポージャーでの治療だ。
──えっと、何を想像するの?
──相澤のトラウマになっている記憶。
──…え。
──事細かく鮮明にな。
そう予告はされていた。
されていたからずっと恐れてきた。
怖い怖いと恐れていた日ほど、時は早くすぎてあっという間に訪れる。
「緊張してる?」
そう言って1週間ぶりに会う砂川君が白衣に腕を通しながら笑う。
「だって…だって、や、やっぱり今日の治療はじめるのもう少し待って貰ってもいい?」
「いいよ。引き延ばしても相澤の緊張が高まるだけだと思うけど」
そう言って砂川君が意地悪に目を細めながら微笑み、私と距離をとった所にあるデスクチェアに腰掛けた。