恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】

そして、想像エクスポージャーの時に気になっていた事を尋ねた。

「砂川君、想像エクスポージャーの時、私の声レコーダーで録音してた・・・?」
「あぁ、よく気がついたな」

そう言って砂川君が、さっき私の声を撮っていたであろうレコーダーを取り出した。

「これは、今日の想像エクスポージャーでの相澤の話を録音したものだ。今日から毎日、これを家で聴いて欲しい」

「……っ」

そんな砂川君の言葉に思わず生唾を飲んだ。
トラウマの記憶を語る事はひどく苦しく、発作を起こし結局最後まで語りきれる事が出来ずに治療を中断してしまった。

きっと、その音声を聞くこともとても辛いのだろうと容易に想像が出来る。

・・・でも、ここで頑張らなきゃ、ずっと変れないままだと思った。





「今日はよく頑張ったな」

私は想像エクスポージャーを上手くやり遂げられなかったのに、砂川君は診療を終えた後そう言って褒めてくれた。

砂川君はたとえ小さな事でも昔からそうやってよく優しく褒めてくれる。

私はお母さんに褒められるような事が少なかったからよく分からなかったけど、親に褒めてもらいたくて何かを頑張ろうって思う子供の気持ちってこんな感じなのかな・・・なんて事を思いながら医院を後にした。

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