恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
受話器越しのお母さんの言葉が耳に痛い。
お母さんの言葉通り、実家と家はそれほど離れている訳ではないのにあまり実家には帰っていない。
お母さんに対して苦手意識を持っているからというのが一番の理由だが、私が顔を見せに行った所でお母さんが喜ぶ訳ではないだろうという事が分かっているから帰らない。・・・というのは、捻くれた言い訳だろうか。
「ごめんね、仕事が忙しくって」
『仕事仕事って、あなた恋愛の方はどうなの?』
(・・・え)
母からのそんな思いがけない質問に、これは長くなりそうだと車のドアを開けて中に入る。
「恋愛は、その…」
『あなた、どうせまだトラウマを引きずって男性を避けてるんでしょう?』
「………。」
そんなお母さんに返す言葉もなく黙り込む。
すると、お母さんは私にとってとんでもない事を口にした。
『貴方にいい縁談の話があるのよ』
「え…?」
"お見合い"という言葉に一瞬思考回路が停止する。
(お、お見合い?私が?)